連邦帰宅部本部

ブルアカの考察をします

メインストーリーVol.3「エデン条約」編 第4章後編まとめ

キヴォトスの先生がた、いかがお過ごしでしょうか。先日は1.5周年おめでとうございました。

 

待ちに待ったエデン条約編完結、第4章後編が公開されましたね。

本記事では後編のまとめを、メインストーリーVol.3全体を通した考察を含めて行っていきます。

今回はちょっとだけ真面目な記事です。ネタバレ注意!!

 

目次

 

あらすじ

旧校舎とバシリカを繋ぐ回廊にて始まろうとする、ミカとサオリの一騎打ちに割って入る先生。しかしサオリは命の危機にあるアツコを優先してほしいと先生の仲裁を拒む。先生はその場をサオリに任せ、ミサキとヒヨリを連れてバシリカへ急ぐ。

得意のゲリラ戦術を活かしてミカに反撃するサオリだが、抵抗も虚しく敗れてしまう。満身創痍となったサオリは、ミカが初めてアリウスを訪れた時のことを想起し、心からアリウスとトリニティの和解を願っていた優しいミカを「魔女」に変えてしまったこれまでの出来事は、全て自分に責任があると詫びる。本心を打ち明け、最後に自分を罰するよう懇願すると、ミカが泣き出し、そんなことはできないと言う。そこに、アツコを助けに行ったはずの先生が戻ってくる。

先生は二人にチャンスは何度でも作れば良い、未来には無限の可能性があると伝え、サオリとミカも連れてアツコ救出へ向かおうとする。それを見かねたベアトリーチェは、今すぐ儀式を執り行うと宣言し、バルバラとユスティナ聖徒のミメシスたちを投入。規格外の戦闘力を持つバルバラをミカが引き受け、先生とスクワッドはアツコの元へ急ぐ。

一方その頃、生死の境を彷徨っていたセイアは、白昼夢の中で百鬼夜行の狐の少女に出会う。彼女と取引をし、予知夢の能力を永久に失う代わりに夢の狭間から抜け出すことに成功する。病院で目覚めるとすぐにトリニティの各勢力を呼びつけ、ナギサと共に先生とミカ救出のためアリウス修復作戦の指揮を執る。

ついにベアトリーチェと先生が面と向かって対峙する。バルバラたちと戦闘中のミカは聖歌隊室を見つけ、そこでアリウスのために祈ると壊れたはずの蓄音機が作動し、アリウス自治区じゅうに憐れみの賛歌が鳴り響く。ベアトリーチェはアツコとサオリの神秘の欠片を生贄に、儀式で召喚したキヴォトス外の存在を借りて本来の姿を現すが、スクワッドに倒されてしまう。アツコは無事儀式から開放され、ベアトリーチェはゴルコンダに連れ去られる。

夜通しバルバラたちを迎撃していたミカは既に限界を迎えつつあった。そこに先生が駆けつけ、「大人のカード」を使いバルバラたちユスティナ聖徒を一掃する。しばらくしてトリニティの軍勢がカタコンベを通りアリウス自治区へ侵入、先生とミカの救出に成功。ティーパーティーの3人が再会し、この後に控える聴聞会に向けて準備をする。

ベアトリーチェの支配から解放されたスクワッドは、指名手配の身につき逃亡生活を続けることに。自分と向き合うためサオリはスクワッドを一時離脱し、ブラックマーケットで仕事を探していた。ブラックマーケットのとある依頼を遂行すると、依頼主の元に便利屋68のハルカが「挨拶」しに訪れる。ハルカが間違えて依頼主を襲撃してしまったことを知ったアルは白目を剥く。

(オチを持って行かれたことに対して)絶対に許さんぞ、陸八魔アル!!

 

4章後編の考察ポイント

・哀れな怪物「ベアトリーチェ

先生の明確な敵対者として登場したエデン条約編の黒幕ベアトリーチェ

儀式によりキヴォトス外の存在をその身に降ろし、高位の存在となって全てを救うのが「大人の義務」であり、そのためなら多少の犠牲は仕方無いと本人は語る。

 

しかし儀式は先生らによって中断され、アツコの代わりにサオリの神秘の欠片をも取り込むものの結果は変わらなかった。

その幕引きは非常にあっさりとしており、わずかミサキ+ヒヨリ+先生の戦力で倒されてしまう。中編で見せた大物感は一体どこへ・・・?

 

結局のところ精神や記憶に干渉する能力などなく、ベアトリーチェ特有の能力といえばゴルコンダの言う「怪物になれる」ことくらいか。

 

計画に失敗し、他のゲマトリアから疎まれ先生の敵対者ですら無くなったベアトリーチェに、今後挽回のチャンスはあるのだろうか・・・?

 

・聖女バルバラ

ユスティナ聖徒会最強の聖女のミメシス。完成すれば人工天使よりも強力で、驚異的な戦闘力を有するミカをも圧倒した。

先生が「大人のカード」を使用しなければ勝ち筋が無かったほどの負けイベントボスである。

実は古書館イベントなどで何気なくボス敵として登場している。

 

なお、人工天使シリーズとはゲマトリアの実験によって生み出されたヒエロニムスなどのことだと思われる。(「Communio Sanctorum」と作中では呼ばれている。)

 

・ミカの記憶について

4章前編~中編では、ミカの記憶や精神をベアトリーチェによって操作されている疑惑があったが、本人が記憶を封じていたことが判明した。

ミカは本来とても優しい心を持つがために、セイアの死に関連する一連の出来事を受け入れられず記憶に蓋をしていた。

その結果、セイアが倒れ再び精神が限界まで追い詰められるまで、アリウス自治区やスクワッドの情報を思い出せなかったのだ。

現実でも、耐え難い体験をすると防衛本能が働いて健忘を発症することがある。

 

・「和解の象徴」アズサ

セイア襲撃より過去に、ミカはサオリにトリニティとアリウスの和解を持ちかけていた。

アリウスと他のティーパーティーの信頼を得るため、アリウス生徒一人を「和解の象徴」としてトリニティに転校させ、問題なく学園生活を謳歌できることを証明してみせるとミカは提案する。

 

この時は提案を断られてしまうが、セイア襲撃の任務に選抜された時点でアズサがトリニティの知識を持っていたことから、ベアトリーチェには秘密で転校の準備が進んでいたと思われる。

アズサはその後も陰謀や争いに巻き込まれるが、師匠のサオリですら羨望の念を抱くほどの強い覚悟を以て自分の道を進んで行った。

セイア襲撃の実行犯となった時点で和解の象徴としての意義は消失したと思われたが、アズサの行動が結果的にアリウスを大人の支配から解放し、トリニティがアリウス修復のため動き出すことに繋がった。

 

・キヴォトス外の存在「色彩」

儀式の向こう側の存在「色彩」についてベアトリーチェから説明があった。

・キヴォトス外の存在

・触れると生徒の器が崩れる

 →具体的には、神秘が恐怖に反転し、裏側の原理が器を支配する

ゲマトリア最大の宿敵

・意志の疎通ができず、目的も不明で、ただ到来するだけの光

 

神秘が恐怖に反転すると聞くと、思い出すのはユスティナ聖徒のミメシスのように変貌を遂げた長髪のシロコである。生徒たちが恐怖に反転した時、バッドエンドを迎える・・・。

中編にて触れられた、キヴォトスが「崇高の転炉」であるという表現は、やはり神秘を抽出するために不純物である恐怖を取り除くといった意味のように聞こえる。

 

モチーフはH.P.ラヴクラフトの小説『宇宙からの色』(または『異次元の色彩』とも)に登場する宇宙生物と思われる。

意志も目的も無く飛来すると周囲のあらゆる生命を吸い取り、生命を吸い取られた生き物は灰色に変じて崩れ、死に至る。

 

・キヴォトスの終焉に対抗するゲマトリア

中編にてセイアが見たというキヴォトス終焉について、セイアの考察ではゲマトリアによって引き起こされたものとされていた。

しかし、後編ではベアトリーチェの目的が世界を救うことであると明かされ、「色彩」がゲマトリア最大の宿敵であることが判明している他、ゲマトリアはキヴォトスを実験場として利用し各々の目的を果たす以上、キヴォトスが崩壊する事は望んでいないように見える。

上のスクショでも、セイアの意見に対して先生の反応は少し懐疑的だ。「ゲマトリアがそんな事を望むか?」と言いたげ。

 

セイアが観測した終焉は、別の世界線ベアトリーチェの儀式が何らかの形で歪んだ結果か。

最後の予知夢に現れた反転シロコ、破壊されたシッテムの箱は遥か先の未来、あるいは過去に起きた出来事か。

キヴォトス終焉の真相に迫るにはまだ時間が掛かりそうだ。

 

・白昼夢のモフモフタイム

2ndPVが公開されて1年以上謎だったキセル吹きの狐っ子が、満を持してメインストーリーに登場。名前はまだ不明だが、おそらくこちらが稲荷神関連のモチーフ。

尊大な態度と背景から百鬼夜行でも上層部の生徒と見られ、百花繚乱の部長あたりの可能性がある。

白昼夢を他人と共有したり、取引によりセイアの予知夢の能力を取り上げ夢の狭間から脱出させたり、またしても特殊能力を持つ生徒の登場である。御札が大量に貼られた石(黄金の箱?殺生石?)のようなアイテムを所持しており、彼女の能力に関係しているか。



しかしとんでもない格好をしていらっしゃる。ドレミ先生やりおったな。

百鬼夜行はツバキ、カホ、ニヤとやべー格好のやつが多いので今更かもしれない。

2ndPVのスチルでは首から胸に掛けて黒い布で覆っているように見え、残念ながらMBではないと思われる。

 

・先生について

バルバラ戦にて、作中で二度目の「大人のカード」使用。使うたびに命を削る代物であり、先生にとっては文字通り切り札のようなアイテム。

「大人のカード」を使用した際の効果は、ゲーム内ではプレイヤーが育成した全ての生徒を編成できるという形で表現される。

 

Vol.3だけで既に2回も使用しており、今後のストーリーでも大人やキヴォトス外部の存在による「詰み」を強行突破する際に使われるのだろうが、先生のライフは持つのだろうか。

カードの使いすぎで力尽きた先生が、桜の木の下で生徒たちに看取られるエンディング・・・。いいね!

 

また、ヘイロー破壊爆弾は先生に効かない事も言及があった。

普通の爆弾に付与された「ヘイローを破壊する」というゴルコンダのテクストが、ヘイローの無い先生には意味が無い。

爆弾によるダメージは受けるが、ヘイロー破壊=死の生徒たちほどの即効性はないのだろう。

 

残された謎

・アツコとの口約束

4章前編の冒頭で、アツコはとある口約束を守る事をベアトリーチェの名に誓わせるが、ベアトリーチェは直後にその約束を破ってしまう。

厄ネタの予感がしていたが、これが仇となる事もなかった。

エデン条約編では、約束や契約が如何に特別な意味を持つか念押しされただけに少し残念。

 

・アツコの能力、ロイヤルブラッドの特異性

結局、アツコだけが持つ特殊な能力(おそらく契約や戒律に関連する力)の詳細は分からず終いだった。

キヴォトス外の存在に捧げる神秘も、ベアトリーチェがアツコの代わりにサオリを生贄にしたりと、高い神秘を持つ生徒であれば誰でも良かったのだろうか?

 

・暴走したアリウス生徒

メインクエストやイベントに登場する敵で、アリウス生徒が「恐怖」の影響を受け、属性が反転した姿。

ベアトリーチェの儀式が失敗した代償として降り掛かった「恐怖」がアリウス生徒たちに付与されて恐ろしいことになるのかなと予想していたが、最も関わりのありそうなエデン条約編に最後まで登場しなかった。

 

メタな話、メインクエストや総力戦の時間軸がメインストーリーとは異なる点については、シッテムの箱の中で行われるあらゆる世界線の再現やシミュレーションのようなものだと解釈しておく。「恐怖」に反転された特殊装甲の敵が沢山出てくるのが不穏。

 

・アリウス生徒たちの行く末

ベアトリーチェが倒されたことにより、自分の生き方の選択すら出来ない状況から脱し、自由を獲得したアリウス生徒たち。

しかし世間的には条約事件の実行犯であり、トリニティとゲヘナ首脳部を負傷させたテロリストとして指名手配されており、表社会で普通に暮らすのは難しいだろう。

スクワッドは放浪の旅に出るが、一学校としてのアリウス分校やアリウス一般生徒の処遇がどうなったかは最後まで描かれていない。

セイア曰くアリウスは「救護」が必要であり、シスターフッドが身寄りの無い不良生徒たちを教会に招き入れたように、アリウス派をトリニティの新たな一派閥として迎えるのかもしれないが、今後明らかになるのを待とう。

 

・ナギサの「信じる」宣言

ナギサの成長が見られた発言だが、物語上の役割は薄く、4章中~後編では特に触れられなかった。

ミカがアリウス自治区のことを知らないと嘘をついているのではなく、本当に忘れていたのは不幸中の幸い。

 

ミカのためを思って補習授業部を編成したり、ミカを助けるために全ての権力を手放す覚悟で各派閥の首長に頭を下げたり、泣けてくる程友人想いの彼女だが・・・。

直接のやりとりが非常に少なく、ミカの幼馴染かつ彼女の一番の理解者であるという設定がいまいち活かしきれていないような気もする。

 

さらに、どこでも紅茶セットを持ち歩いていることが判明し、すっかりネタキャラ化してしまった。ナギサ推しは泣いていい。

 

・ミカの処遇について

前編での約束通り、全員で聴聞会への参加を果たしたティーパーティーの3人。ミカの処遇が結局どうなったかは描かれていない。

1周年パーティーの時系列が仮に4章後だとして、バッジとケープを外した姿は停学中またはティーパーティーの座から降ろされたことを表しているのかもしれない。

いくら先生が聴聞会に同席しているとは言え、ミカがやったことの重大さから何の処罰も無しにはならないと僕は思う。

 

トリニティ現体制の権威が失墜して以降、ミネやサクラコが幅を利かせており、ミカ失脚後はティーパーティーの再編成も考えられる。

実装時にミカの立ち絵を変えることもないと思うので、暫くの停学期間があって、セイアやナギサの力を借りて再びティーパーティーに復帰する可能性が高い。

 

エデン条約編とは何か

改めてfin表記が入り、完結したエデン条約編。

ここで一度全体を振り返ってみたいと思う。

 

エデン条約編ってどんなお話?

エデン条約編がどんな物語だったかと聞かれると、一言や二言で答えることはおそらく難しい。

まず現時点の他のメインストーリーの要点をまとめると以下のようになる。

 Vol.1 アビドス高校を廃校の危機から救う物語

 Vol.2 ゲーム開発部を廃部の危機から救う物語

 Vol.4 閉鎖したSRT特殊学園の生徒を社会的抹殺の危機から救い、行く先を決める手助けをする物語

※あくまでもブルアカの主人公である先生が取った行動ベースでの要約であり、各ストーリーの登場キャラごとに考えると更に細分化される。

 

対して、Vol.3を自分なりにまとめると、大きく3つの物語に分解された。

  • 補習授業部を退学から救う物語(1〜2章)
  • ミカという一人の少女を救出する物語(2〜4章)
  • アリウス分校をベアトリーチェの支配から解放する物語(3〜4章)

エデン条約編がごちゃっとしている複雑なように感じる所以は、複数の本筋が同時並行で進む点にある。ギャルゲーに例えると、本来は別々の攻略ルートが用意されているヒロインを、一つのルートで一気に攻略していくようなイメージだ。

 

この通り、全くもってトリニティとゲヘナの和平のお話ではないのだ。とんだアイキャッチ詐欺だぜ

トリニティとゲヘナがいがみあっている原因に着目し、両者の誤解を解いたり、争いを仲裁したり、和解の手助けをする物語ではない。

 

エデン条約編のテーマは?

テーマの話をすると、作中で繰り返し触れられているように、エデン条約編の主に前半には「信じること」という明確なテーマがある。

「楽園の存在証明」が不可能なように、目に見えないものや証明できないものは、もうそこにあるものとして「信じる」しかなく、信じた先にきっと希望や奇跡がある。

日頃から水面下でのドロドロとした争いが絶えないトリニティ(と元は同じのアリウス)には、まさしくぴったりなテーマである。

ナギサ、ミカ、セイアがお互いを疑ってしまった小さな出来事からセイアの暗殺未遂、ナギサの疑心暗鬼による補習授業部結成、ミカの精神崩壊と暴走へ繋がった。

そういう意味では何度もミカの言葉を疑い、本心を探ろうとしていた僕も反省するべきだろう。

 

3章以降は「信じること」のテーマ性は薄まっていき、どちらかというと「不信によって生まれた悲劇の数々」の後片付けが主軸となっていく。

2章でその存在を仄めかされ、3章で新たに問題提起されたアリウス分校の生徒たちは、信じる/信じない以前に、その選択肢すら奪われた子供たちである。まずは選択する権利を取り戻し、前提条件をクリアした上で、ようやく補習授業部やティーパーティーの子らと同じ土台に立てるという、ある種テーマの否定になっている・・・のかもしれない。

 

ルート分岐とエンディング

さて、エデン条約編が一段落したところで、どうしても触れなければならないことがある。

プロローグから示唆されている、ブルアカのストーリーにおけるルート分岐や別の結末の存在についてだ。

これらについて、セイアの予知夢や4章後編でゴルコンダから言及のあった内容を踏まえて、現時点で僕が立てているブルアカの結末に関する仮説を書いていこうと思う。

 

先生の「選択」が結末を決める

ゴルコンダにより、先生の干渉が全ての概念を変えてしまうと言及があったように、先生の干渉の有無により物語の展開は大きく変わる。

例えば、4章後編で先生の選択が重要な役割を果たしたのは以下のような場面だ。

  • 先生がサオリのヘイロー破壊爆弾を預かっていなかったら、サオリがミカに爆弾を使用し、お互いが分かり会えるチャンスを永遠に失っていた
  • バルバラ戦で先生が「大人のカード」を使用しなかったら、ミカが力尽きていた

他のメインストーリーで言うと、対策委員会編でホシノの退学届にサインをしなかったことが、結果的に補習授業部のピンチに対策委員会が駆けつける展開に繋がったのを見ると、先生の選択の重要性が分かる。

 

先生の行動原理

これまでに行われた先生の選択の一つ一つを見ていくと、とある傾向が浮かび上がってくる。

先生は、キヴォトスに干渉することで、生徒の消失や死亡につながるリスクを回避している。

何を今更当たり前の事を・・・と思うかもしれないが、要するに生徒が楽しい青春を送れないバッドエンドを回避しているのだ。

「大人のカード」なんかはその究極の例で、キヴォトス内の原理では解決不可能な事象に対して、先生だけが持つチート能力で「詰み(=即バッドエンド)」を打開している。

 

先生が目指す、理想のエンディング

では逆に先生がどんな結末を目指して物語を進めているかというと、プロローグの冒頭で連邦生徒会長らしき人物のセリフにヒントがある。

プロローグから読み取れる「前の物語」を要約すると下記のような内容だ。

連邦生徒会長は先生と共に物語を進めたが、「捻れて歪んだ未来」(=バッドエンド)にたどり着いてしまい、次の物語は先生に全ての選択を託し自身は物語の舞台から降りた。

簡単にいえば、先生が目指すのは連邦生徒会長と共に辿り着けなかった「捻れて歪んだ未来」の逆のエンディング。少なくとも「恐怖」に反転したシロコが登場したり、シッテムの箱に銃弾を食らったりしないような結末だろう。

 

理想の結末が具体的にどんなものかは現時点では想像するしかないが、トゥルーエンド(仮)に関する僕の仮説はこうだ。

 

特定の生徒が生存した上で、連邦生徒会長(アロナ)を救出し、全員が楽しい青春を送る

 

主な根拠は下記。

  • 先生がすべての生徒の味方であると自負していること
  • 連邦生徒会長も生徒であること ※プロローグ時点では既に「大人」に成長している可能性がある
  • ブルーアーカイブというタイトルが意味するところの一つが「青春の物語」であること

ここで「すべての生徒」ではなく「特定の生徒」と表現した理由についてはこの後記述する。

 

キヴォトスは何のために存在するか

キヴォトスがギリシャ語で「方舟」を意味し、登場人物が外の世界の存在を認識している描写や、先生が外の世界から来た大人であることなど、キヴォトスが隔絶された箱庭である事は何となく予想がついていると思う。

更に、ゲマトリアが実験場としていることや、「転炉」という表現、シャーレが実験器具のペトリ皿を意味することから、キヴォトスは何かを検証するために用意された舞台であると言って良いだろう。

上で書いた結末の仮説と絡めると、キヴォトスとは青春をシミュレーションするための世界で、生徒たちが青春を謳歌するというトゥルーエンドに到達するまで、シャーレ就任当日から何度も何度も物語をやり直すことができるのではないかと考えている。

エンディングに特に影響を与えない存在である生徒以外のNPCがロボットや動物で置き換えられているのは、シミュレーションのリソースを極力抑えるためだろうか。

 

誰を選び、誰を捨てるか

最後に少しリアルな話をしたい。

トゥルーエンドの条件で、特定の生徒の生存と書いたのは、先生の手が届かない生徒が必ず出てくるからだ。

キヴォトスに何百万といる生徒全員の面倒を一人で見るのは、それこそ神でもない限り不可能であるのは想像に難くない。

 

退学寸前の補習授業部や抹消の危機にあったRABBIT小隊には手を貸したのに対し、既に帰る場所を失ったアリウスやヘルメット団やスケバンといった学校に行けない生徒たちは彼女らの運命に任されているという明確な差、すなわち先生の干渉の要否や程度の差を決める基準がどこにあるのか。

それは、トゥルーエンドの達成に影響があるかどうかである。

言い換えれば、先生が彼女らを選ばなくともトゥルーエンドの達成には影響がないからと言うこともできる。

ゴルコンダの言葉を借りるなら、「知らずとも良いもの」ということだ。

 

それこそシャーレに救援要請を送る余裕も無いほど危機的状況に陥っている生徒たち、スランピアで行方不明になった生徒たち、物語の開始時点で死亡したとされるユメ先輩など、先生の目が届かないところでキヴォトスから消えた生徒もいる。

先生は全ての生徒の味方ではあるが、4章後編で本人が言うように「審判者」でも「救済者」でも「絶対者」でも無いのだ。

 

 

おわり

今回の記事はこれで終わりです。とりあえずエデン条約編が完結して本当に良かった。

次更新が来るとしたら3rdPVを見る感じ秋にカルバノグ2章、冬にパヴァーヌ2章あたりでしょうか。

 

動画に関しては伝えたい情報を伝える際に記事が一番手っ取り早い事に気づいてしまったこと、クオリティアップが必要と感じていること、暫くは絵にも時間を割きたいことからなかなか触れられず・・・。

動画を作りたい気持ちは今でも変わらないので、いずれ落ち着いたら世界観のまとめとかを出したいと思います。